葬儀は本当に必要か?仏教の視点から考える終活の真実

現代の終活では、葬儀や墓、法事といった「死後の準備」が重要視されています。しかし、それらが本当に必要なのか、特に仏教の視点から考えるとどうなのでしょうか?今回は、「葬儀は必要か?」というテーマについて深掘りしていきます。


終活の本質とは?

終活とは、「人生の終わりを迎える前に、自分自身で準備をする活動」です。具体的には、

  • 生命保険
  • 株や口座の管理
  • ローンの整理
  • 認知症対策
  • 相続や遺言の準備
  • 葬儀の手配

といったことが挙げられます。これらの終活には多額の費用がかかることが多く、近年では「終活ビジネス」として多くの業者が参入しています。特に、葬儀業者や僧侶が積極的に終活を推進するケースが増えてきました。

しかし、果たして「高額な葬儀や法事は本当に必要なのでしょうか?」


葬儀業界の現状と課題

かつては、一般的な葬儀に200万円ほどかかるのが普通でした。しかし、最近ではコロナ禍の影響もあり、家族葬や直葬といった簡素な形式の葬儀が増え、平均110万円程度にまで減少しています。

しかし、高齢者の多くは、「立派な葬儀を行うことで、故人が成仏する」と考える傾向があります。この価値観を利用し、葬儀業者や保険会社は「事前にしっかりとした準備を」と呼びかけ、高額なプランを契約させるケースが多発しています。

  • 終活カウンセラーの多くが保険営業を兼ねている
  • エンディングノートを利用し、顧客の財産状況を把握した上で高額商品を勧める
  • 「家族に迷惑をかけないために」と、必要以上のプランを推奨する

このような現状を理解した上で、終活を進めることが重要です。


親鸞聖人が示した「葬儀不要論」

ここで仏教の視点に立ち返ってみましょう。浄土真宗の開祖である親鸞聖人は、次のような言葉を残しています。

「親鸞閉眼せば賀茂河にいれて魚にあたうべし」

これは、「私が死んだら、賀茂河(京都の川)に投げ捨てて魚の餌にしてくれ」という意味です。つまり、親鸞聖人は「葬儀や墓にこだわる必要はない」と言っているのです。

この言葉の背景には、

「葬儀や墓は、仏法の信心とは無関係である」

という教えがあります。親鸞聖人は、「葬儀や法事の形式を整えたからといって、極楽浄土に行けるわけではない」と明確に否定しているのです。

実際、浄土真宗では「葬儀や法事は、亡くなった人のためではなく、残された人が仏法を聞き、信心を深めるためのもの」とされています。つまり、葬儀自体が極楽往生に関係するわけではないのです。

また、覚如聖人はこのようにも述べています。

「これすなわち、この肉身を軽んじて仏法の信心を本とすべき由をあらわしまします故なり」

つまり、肉体の処理にこだわるのではなく、仏法の信心を持つことこそが大切なのです。


では、葬儀は不要なのか?

親鸞聖人の教えからすると、「形式的な葬儀にこだわる必要はない」という結論になります。しかし、以下の点は考慮するべきでしょう。

1. 遺族のために行う葬儀

  • 残された家族にとって、故人を偲ぶ時間としての葬儀は意味を持つ。
  • しかし、高額な葬儀でなければならない理由はない。

2. 無駄な出費を抑える

  • 高額な葬儀プランを選ぶ必要はない。
  • 家族葬や直葬など、簡素な形式でも十分。

3. 仏教の教えに沿った考え方を持つ

  • 「葬儀をすることが極楽往生に直結する」という考えは誤解。
  • 信心を深めることが大切であり、形式にとらわれる必要はない。

エンディングノートに何を書くべきか?

エンディングノートは、終活の一環として書かれることが多いですが、ここでも注意が必要です。

書いておくべきこと

  • 銀行口座、パスワードの管理方法
  • 相続に関する希望(遺言書の補助として)
  • 医療・介護の希望(延命治療を望むかなど)

🚫 避けるべきこと

  • 高額な葬儀や法事を「必ずやる」と決めつけること
  • エンディングノートを保険会社や業者に見せること(不要な契約を勧められるリスク)

終活をする上で大切なのは、「本当に必要なことだけを選ぶ」という視点です。


まとめ:賢い終活をするために

  1. 葬儀は必要か? → 必ずしも高額な葬儀を行う必要はない。
  2. 仏教的な視点 → 浄土真宗の教えでは、葬儀や墓の形式よりも信心が大事。
  3. 終活をビジネスに利用されないように → 必要なことと不要なことをしっかり見極める。

終活は「安心して最期を迎えるため」のものですが、葬儀や法事の形式に縛られる必要はありません。本当に自分が納得できる形で準備を進めることが、最良の終活と言えるでしょう。

あなたの終活が、無駄な出費を抑えながらも、心から納得できるものになりますように。

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