身近な人を亡くしたとき、何よりも大変なのは「すぐに次の決断を迫られること」です。 深い悲しみの中、冷静な判断を求められる瞬間が続きます。その中でも、最初に立ちはだかるのが「ご遺体をどこに預けるか」という問題です。
突然の別れに戸惑うご遺族の多くが、「何を基準に選べばいいのか分からなかった」と口をそろえます。 実は、遺体安置施設には様々な種類や設備の違いがあり、選び方ひとつでお別れの過ごし方や気持ちの整理の仕方に大きな差が出るのです。
この記事では、そんな“知らないまま選んでしまいがちな”遺体安置施設について、
- どんな種類があるのか
- 施設によってどんな違いがあるのか
- どんな点を確認しておくべきか
をわかりやすく解説します。
「あとから後悔しないようにしたい」「心穏やかにお別れの時間を持ちたい」と願う方へ、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
遺体安置施設とは?
遺体安置施設とは、亡くなられた方をご自宅や葬儀式場に移すまでの間、安全にご遺体を保全・保管するための施設です。 病院から直接ご自宅に連れて帰るのが難しい場合や、葬儀の日程が決まるまでの調整期間などに利用されます。
安置施設には次のような種類があります:
- 公共の火葬場や霊園が運営する施設
- 葬儀社が運営する安置室
- 霊柩搬送業者による保冷施設
- お寺などの宗教法人による施設
- その他、個人や法人が提供する民間の安置スペース
これらはそれぞれ運営母体によって利用条件やルールが異なります。例えば、葬儀社が運営している施設では、その葬儀社に依頼しないと使えない場合があるため、事前確認が大切です。
面会・お別れができる環境か?
「面会できます」と言われていても、実際にはご遺体が保冷庫から引き出されて棺のまま金属製の台に置かれるような場所もあります。 こうした環境ではゆっくりとお別れをすることが難しく、「思っていたのと違った」と感じるご遺族も少なくありません。

そのため、安置施設に次のような設備があるかどうかを確認しましょう:
- 面会専用の部屋があるか
- 納棺の儀式や読経のスペースがあるか
- 花や思い出の品を手向けられる場があるか
家族でしっかりとお別れをしたいと考えるなら、構造面も重要です。
スケジュールとお別れの流れに影響する
遺体安置施設のタイプによって、火葬までの過ごし方に大きな違いが出ます。 例えば、病院で見送った後にそのまま安置され、火葬当日まで一切面会できず、最後に火葬炉の前で「ちらっとだけ対面して終了」というケースも実際にあります。
一方で、家族で一緒に安置施設へ向かい、ゆっくりと納棺の儀式や面会をしながら火葬日までの時間を過ごせる施設も存在します。 これらは、構造的な設備の違いや対応する職員の方針によって大きく変わるのです。
利用条件・保管方法も施設ごとに違う
安置施設はすべてが同じではありません。以下のような違いがあります:
- 保管方法が「冷蔵庫」なのか「ドライアイス」なのか
- 棺に納めていないと受け入れられない施設もある
- ドライアイスが別料金になるケースもある
このような条件も、実際に問い合わせをしてみないとわからない場合があります。 費用の問題にも直結するため、事前の確認は必須です。
とりあえず安置→ゆっくり葬儀社を選ぶという選択肢も
葬儀社を決める前に、とりあえず安置施設にご遺体を預けて落ち着いて考えるという手段もあります。
多くの方が突然の死別の直後、病院と提携している葬儀社にそのまま依頼してしまいますが、 本当に納得のいくお別れができる葬儀社なのかを確認する時間がないまま選ぶことも少なくありません。
安置施設にご遺体を預けたうえで、複数の葬儀社の話を聞いてから決める。これも大切な「選択肢のひとつ」なのです。
遺体安置施設は、単なる「保管場所」ではなく、故人との大切な時間を過ごすための場所です。 だからこそ、「どこでも同じ」ではなく、「どこを選ぶか」がその後の納得感に大きく関わってきます。
事前に調べて、見学できるなら見学をし、家族にとって納得のいく場所を選んでください。 突然の別れに直面したとき、少しでも心穏やかに過ごせるように、知識と備えが力になります。
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