高齢者の浴槽での溺水事故は、家庭内で発生する重大な事故の一つです。特に冬場はヒートショックによる意識喪失が原因となることもあり、迅速かつ適切な対応が求められます。本記事では、溺水時の対応と応急処置の方法について詳しく解説します。
目次
溺水を発見したときの対応
① すぐに浴槽から引き上げる
- 可能であればすぐに浴槽から引き上げ、呼吸の有無を確認する。
- 自分一人で引き上げられない場合は、救助を呼ぶ。
② 意識と呼吸の確認
- 声をかけ、反応があるか確認する。
- 胸や腹部の動きを見て、呼吸をしているか確認する。
- 呼吸がない場合、または異常な呼吸(あえぎ呼吸)をしている場合は、すぐに心肺蘇生を開始する。
③ 救急車を呼ぶ(119番通報)
- 事故が発生したら、速やかに119番に通報する。
- 状況を伝え、「浴槽で溺れた」「呼吸の有無」「意識の有無」を報告する。
- 救急隊が到着するまでの間、適切な応急処置を行う。
溺水時の応急処置
① 呼吸がある場合の対応
- 呼吸をしているが意識がない場合、**回復体位(横向きに寝かせる姿勢)**をとらせる。
- 口の中に異物(吐物など)がある場合は、指やガーゼで取り除く。
- 体を毛布やタオルで包み、体温低下を防ぐ。
- 意識が戻っても、念のため病院で診察を受ける。
② 呼吸がない場合の対応(心肺蘇生法)
- 呼吸が確認できない場合は、ただちに心肺蘇生(CPR)を開始する。
1. 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
- 胸の中央(胸骨の下半分)に両手を重ねて置く。
- 1分間に100〜120回の速さで、5cmほど押し込むように圧迫する。
- 救急隊が到着するまで続ける。
2. 人工呼吸(可能な場合のみ)
- 気道を確保する(頭を後ろに軽く傾け、顎を持ち上げる)。
- 口をしっかりと覆い、2回息を吹き込む(1回あたり約1秒)。
- 胸が上がるのを確認しながら行う。
- 胸骨圧迫30回ごとに人工呼吸2回を繰り返す。
※ 人工呼吸が難しい場合は、胸骨圧迫のみを続ける。
溺水後の注意点
① 溺水後に意識が戻った場合
- 意識が戻った場合でも、水を吸い込んでいる可能性があるため、必ず医療機関を受診する。
- 遅れて誤嚥性肺炎を発症する可能性があるため、呼吸状態に注意する。
② 低体温症の予防
- 浴槽内で長時間倒れていた場合、体温が低下している可能性がある。
- 乾いたタオルや毛布で体を包み、体温の低下を防ぐ。
- 温かい飲み物を摂取させる(意識がはっきりしている場合のみ)。
③ 溺水後の経過観察
- 事故後しばらくしてから、咳が出たり、息苦しさを訴える場合はすぐに病院を受診する。
- 数時間後や翌日に症状が悪化することもあるため、注意して観察する。
家庭内での溺水事故を防ぐために
① 浴室の環境整備
- 浴槽の高さを低くし、手すりを設置する。
- 浴室の床に滑り止めマットを敷く。
- 自動湯張り機能を活用し、入浴時の見守りを強化する。
② 入浴時の注意点
- 高齢者が一人で入浴するのを避け、可能であれば見守る。
- お湯の温度を41℃以下に設定し、長湯を防ぐ。
- 入浴前に水分補給を行い、脱水を防ぐ。
③ ヒートショックを防ぐ
- 浴室と脱衣所の温度差を少なくするために、浴室暖房を使用する。
- 浴槽に入る前にシャワーで体を温め、急な血圧変動を防ぐ。
- 体調がすぐれないときは入浴を控える。
まとめ
高齢者の浴槽での溺水事故は、早急な対応が生死を分けることになります。迅速に浴槽から引き上げ、意識と呼吸を確認し、必要であれば心肺蘇生を行いましょう。
応急処置のチェックリスト
☑ 溺水を発見したらすぐに浴槽から引き上げる。 ☑ 意識と呼吸を確認し、必要に応じて119番通報する。 ☑ 呼吸がない場合は、胸骨圧迫を開始する。 ☑ 回復した場合でも、必ず医療機関で診察を受ける。 ☑ 家庭内での溺水事故を防ぐための対策を講じる。
日頃から溺水事故を予防する環境を整え、万が一の際に適切な対応ができるように備えましょう!
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