近年、銀行口座だけでなく、証券口座、仮想通貨、サブスクリプションサービスなど、「デジタル資産」を持つ人が増えています。しかし、もし突然亡くなったとき、これらの資産はどうなるのでしょうか?
紙の通帳や現金と違い、デジタル資産は目に見えず、家族が存在を知らなければそのまま放置されてしまうこともあります。相続の手続きをしないと、資産が凍結されたり、最悪の場合、誰も引き継げずに消滅してしまうことも。
この記事では、デジタル資産の相続について、知っておくべきポイントと具体的な引き継ぎ方法を解説します。
デジタル資産とは?相続できるもの・できないもの
まず、デジタル資産にはどのような種類があり、相続できるものとできないものがあるのかを確認しましょう。
✅ 相続できるデジタル資産
✔ ネット銀行の口座・預金(楽天銀行、住信SBIネット銀行など)
✔ 証券口座(SBI証券、楽天証券など)
✔ 仮想通貨(暗号資産)(ビットコイン、イーサリアムなど)
✔ 電子マネー・ポイント(楽天ポイント、Tポイント、PayPay残高など)
✔ クラウドストレージ内のデータ(Google Drive、Dropboxなど)
✔ ネットショップの売上金(メルカリ、PayPal、Amazonセラーアカウントなど)
➡ これらは法的に「財産」として認められており、相続の対象になります。
❌ 相続できないデジタル資産
❌ サブスクリプションサービス(Netflix、Spotify、Amazonプライムなど)
❌ SNSアカウント(Facebook、X(Twitter)、Instagram など)
❌ オンラインゲームのアカウント(課金アイテムやキャラクター資産)
➡ これらは「個人の契約」に基づくものであり、基本的に相続はできません。
※ ただし、一部のSNS(Facebookなど)は「追悼アカウント」にすることが可能です。
デジタル資産の相続をスムーズにするための準備
デジタル資産の相続は、事前に準備しておくことでスムーズに進めることができます。
① デジタル資産のリストを作成する
まずは、どのようなデジタル資産を持っているのかを把握しましょう。
✔ ネット銀行・証券口座の一覧
✔ 仮想通貨の取引所・ウォレット情報
✔ 電子マネーやポイントの管理状況
✔ オンラインショップの売上金やアカウント
✔ クラウドストレージに保存している重要なデータ
※ 紙に書いておくのはリスクがあるため、エンディングノートやパスワード管理アプリを活用すると安心です。
② 信頼できる家族や親族に情報を伝える
✔ 銀行・証券口座の存在を家族に伝える
✔ 仮想通貨の秘密鍵(ウォレットのパスワード)を保管する
✔ パスワードを記録し、管理方法を決める
※ 仮想通貨は秘密鍵がなければ、誰も引き出すことができなくなります。特に慎重な管理が必要です。
③ 遺言書にデジタル資産の取り扱いを明記する
✔ ネット銀行や証券口座の相続方法を指定する
✔ 仮想通貨のウォレット情報を相続者に伝える
✔ ポイントや電子マネーをどう処理するかを決めておく
※ 遺言書がないと、相続手続きが複雑になるため、財産が多い場合は弁護士や行政書士に相談すると安心です。
デジタル資産の相続手続きの流れ
① 死亡届の提出後、金融機関に連絡する
銀行や証券会社に死亡を報告すると、口座が一時的に凍結されます。相続の手続きを進めるには、相続人が正式な申請を行う必要があります。
✔ 必要な書類を揃える(戸籍謄本、遺産分割協議書など)
✔ 各金融機関の指示に従い、相続手続きを進める
② 仮想通貨の相続手続き
仮想通貨の相続は特に注意が必要です。
✔ 取引所に連絡し、相続手続きを進める
✔ 秘密鍵がない場合、仮想通貨は失われる可能性があるため、事前に管理を徹底する
✔ 相続税の計算に注意する(仮想通貨の価値変動があるため)
③ クラウドストレージやデジタルデータの整理
✔ 重要なデータをダウンロードして保存する
✔ 不要なデータは削除し、プライバシーを守る
✔ SNSアカウントの削除・追悼設定を行う
まとめ:デジタル資産の相続をスムーズに進めるために
デジタル資産の相続は、事前の準備がとても重要です。
✔ ネット銀行・証券口座・仮想通貨など、相続できるものを把握する
✔ サブスクやSNSアカウントは相続できないため、解約や削除を考える
✔ デジタル資産のリストを作成し、信頼できる家族に伝える
✔ 遺言書を作成し、デジタル資産の取り扱いを明記する
デジタル時代の相続は、従来の財産管理とは違い、目に見えないものが多くなっています。今のうちから整理を進め、家族が困らないように準備をしておきましょう。
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