「大切な人の遺骨をまだ手放せない」「お墓が決まらず、自宅で長期間保管している」──
このような声は、年々増えています。火葬後すぐに納骨せず、5年以上ご遺骨を自宅に保管しているという方も少なくありません。
今回は、「遺骨を手元に置き続けることは法律的に問題があるのか?」という疑問を中心に、法律の考え方や供養の選択肢についてわかりやすくご紹介します。
■ 遺骨を自宅で保管するのは法律的に問題ない?
まず結論からお伝えすると、
ご遺骨を自宅で保管していても、法律違反にはなりません。
日本には「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」がありますが、これは「埋葬や埋蔵を行う場合」に適用される法律です。
つまり、「埋葬しない=自宅で保管する」ことに関しては、法律の規制はありません。
たとえば、「30年間自宅でご遺骨を保管していた」というケースも、法的には全く問題ありません。
■ では、なぜ納骨をすすめられるのか?
自宅保管は違法ではないとはいえ、将来的なトラブルにつながる可能性があるため、どこかのタイミングで納骨先を決めておくことが望ましいとされています。
たとえば、そのご遺骨を保管していたご家族が亡くなった場合、
「誰が、どのように遺骨を管理・供養していくのか」が曖昧になることがあります。
家族が少なくなってきた現代だからこそ、「残された人が困らないようにする」という配慮が大切です。
■ 悲しみの深さは、年齢や状況によって異なる
最近は高齢化の影響で、故人が90代など長寿で亡くなるケースが多くなっています。
こういった場合、悲しみの中にも「よく生きてくれた」という思いや、ある種の安堵感もあるため、遺骨への執着は比較的少なくなる傾向があります。
一方で、10代の子どもや若い方が突然亡くなった場合は、深い悲しみから「手放せない」という気持ちが強く残ることが少なくありません。
「49日で納骨してください」と言われても受け入れられず、断るご遺族も多いのが現実です。
■ 昔は自宅保管できなかったが、今は選べる時代に
明治以前の日本では、火葬という習慣がなく、衛生的な問題から遺骨を自宅に保管することはできませんでした。
しかし現代では火葬が一般的になり、遺骨は清潔な状態で保管できるようになっています。
つまり、納骨するかどうかはご遺族の判断に委ねられているのです。
心の整理がついてからで大丈夫。それまでは、ゆっくりと気持ちに寄り添ってもよいのです。
■ ただし「自宅の庭に埋める」は要注意
「せっかくだから、庭に埋めてあげたい」という気持ちもあるかもしれません。
しかし、これには要注意!
墓埋法により、遺骨を“埋める”行為には必ず行政の許可が必要です。
自宅の庭に勝手に埋めてしまうと、将来的にその土地を他人が購入した場合、「掘ったら人骨が出てきた…」という重大トラブルに発展することも。
事故物件扱いになる可能性すらあります。
■ 納骨のタイミングと選択肢
一般的には、四十九日法要(49日)までに納骨するのが仏教的なひとつの区切りとされています。
49日間は仏様と一緒に修行する期間とされ、「この世にとどまっている魂が旅立つ準備をする時間」と言われています。
しかし最近では、仕事の都合や遠方からの移動が難しいという理由から、
火葬後すぐに納骨する方や、49日以降もしばらく自宅で供養される方も増えています。
■ 手元供養という選択も
遺骨を手放すことに抵抗がある方には、「手元供養」や「分骨」という選択肢もあります。
たとえば:
- ミニ骨壷に分けて自宅で供養する
- ペンダント型に加工し、肌身離さず身につける
- ダイヤモンド加工してアクセサリーとして持ち歩く
など、現代のライフスタイルに合った供養方法も多様化しています。
ただし、他にも手を合わせたいご家族や親族がいる場合は、「お参りができる場所」をしっかり用意することも大切です。
■ 最後に:自宅供養を選ぶときの心構え
ご遺骨をずっと自宅で供養していても問題はありません。
しかし、「自分がいなくなったあとにどうするか」も考えておくことが、
故人への最後のやさしさかもしれません。
たとえば、ご家族で話し合って「〇〇寺に納骨する予定」「将来はこの樹木葬に納める」など、段取りを決めておくと安心です。
📝 まとめ
内容 | ポイント |
---|---|
自宅での保管 | 違法ではない(墓埋法は埋葬にのみ適用) |
納骨しないこと | 問題なしだが、将来の管理は考えるべき |
自宅の庭への埋葬 | 法律違反になるのでNG |
納骨の時期 | 49日が目安だが、自由でOK |
手元供養 | 分骨・ミニ骨壷・アクセサリーなど多様化中 |
この記事を読んでくださったあなたへ
遺骨をどうするかに「正解」はありません。
大切なのは、ご自身の気持ちに正直であることと、
後を引き継ぐ人のことも少しだけ想像しておくこと。
その一歩が、きっと故人にとっても、残されたご家族にとってもやさしい選択になります。
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