近年、多くの方が選択肢として検討するようになった「墓じまい」。 この言葉を聞くと、先祖のお墓を処分してしまうような、どこかネガティブなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際のところ、墓じまいとは「先祖を大切にしたい」という思いから行う、未来につながる選択なのです。
本記事では、墓じまいの基本的な流れや費用、注意点をわかりやすく解説し、読んだ方が「やって良かった」と心から思えるような、後悔しない墓じまいの知識をお届けします。
墓じまいとは?
墓じまいとは、お墓に建てられている墓石を撤去し、その土地を更地にして墓地の使用権を返還することをいいます。
多くの人が「お墓の土地を買っている」と思いがちですが、実際には土地を“借りて”いるケースがほとんどです。
そのため、墓じまいをする際には、
- 墓石の撤去
- 更地化
- 使用権の返還 といった手続きが必要になります。
また、墓じまいと聞くと「納骨された遺骨も処分してしまうのか?」と思われるかもしれませんが、実際は遺骨を別の場所に移す(改葬)、あるいは散骨するなど、供養の形を変えることを指します。
墓じまいは決してご先祖様を粗末にするものではなく、大切に供養を続けるための選択なのです。
墓じまいを選ぶ理由
現代社会では、仕事やライフスタイルの変化により、地元を離れて暮らす人が増えました。
- 遠方の実家にあるお墓の管理が難しい
- 少子高齢化により、管理する人がいなくなった
- 複数のお墓を一つにまとめたい
といった理由から、墓じまいを検討するケースが増えています。
墓じまいの流れ(7ステップ)
1. 親族間でしっかり相談する
墓じまいは、感情が絡みやすいデリケートな問題です。墓を管理する人にはメリットがありますが、お参りする側にとっては不便になる可能性も。
必ず親族全員で納得いくまで話し合いましょう。
2. 墓地管理者に改葬を伝える
お寺や霊園など、墓地の管理者に墓じまいをしたい旨を伝えます。
この際、
- 改葬先の情報
- 書類の必要有無 などを確認しておきましょう。
3. 新しい納骨先を決める
改葬先は、一般墓、樹木葬、合葬墓、納骨堂、散骨など、選択肢が増えています。
家族の希望や予算、今後の管理のしやすさを踏まえて検討しましょう。
4. 行政手続きで改葬許可証を取得する
市区町村の役所で「改葬許可証」を取得します。
この証明がないと、遺骨を移すことができません。
5. ご遺骨を取り出す
改葬許可証が取得できたら、いよいよ遺骨の取り出しです。
- 専門業者
- お寺の方
- ご自身
誰が行うかによって費用が異なります。
6. 墓石の解体・撤去
遺骨を取り出したら、石材店に依頼して墓石を撤去します。
7. 移転先に納骨する
新しい納骨先に遺骨を移して、墓じまいが完了です。
墓じまいの費用目安
・お寺や墓地管理者へのお礼:〜20万円程度
「お気持ちで」とされることもありますが、最大で20万円ほど支払うケースもあります。
・墓石の解体・撤去費用:20万〜100万円程度
目安として1平米あたり10万円。重機を使う場合など、条件次第で費用は大きく変わります。
・改葬先の購入・納骨費用:10万〜数百万円
1霊あたり10万〜30万円が一般的。
ただし、先祖代々の古いお墓には10体以上のご遺骨がある場合もあり、 その場合は100万円以上かかることも。
コストを抑えたい場合は、
- 1区画50万円、納骨1体ごとに5千円といった設定のお寺 を探すのもおすすめです。
墓じまい後の供養の選択肢と費用感
供養方法 | 費用目安 |
---|---|
一般的なお墓 | 130万円〜 |
樹木葬 | 20万円〜 |
合葬墓(永代供養) | 5万円〜 |
納骨堂・屋内墓苑 | 30万円〜 |
海洋散骨 | 5万円〜 |
手元供養 | 数千円〜 |
墓じまいで注意すべきこと
目先の費用や利便性だけで決めないこと。
あなたにとっては今の場所での供養が最適でも、将来あなたの子孫が引っ越したとき、 また同じ理由で墓じまいをしなければならなくなる可能性も。
- 「20年後、30年後どうなるか」
- 「誰が引き継いでいくのか」
という未来の視点を持ち、持続可能なお墓のあり方を考えることが大切です。
まとめ
墓じまいは決して「お墓を無くす」行為ではありません。 先祖を敬いながら、今を生きる家族の負担を軽くし、未来の世代に負担を残さないための選択です。
親族との丁寧な話し合い、そして正しい手続きと将来を見据えた判断が、 「やってよかった墓じまい」につながります。
ぜひこの記事を参考に、後悔のない墓じまいを実現してください。
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