「相続」と聞くと、現金や不動産などの財産を受け継ぐイメージがあるかもしれません。しかし、実際には被相続人(亡くなった人)の借金や未払いの税金などの負債も相続の対象になります。そのため、場合によっては「相続放棄」という選択をすることが重要です。
本記事では、相続放棄の仕組みや手続き、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人の財産や負債を一切引き継がないことを選択する手続きのことです。相続放棄をすると、プラスの財産(預金や不動産)だけでなく、マイナスの財産(借金や未払いの税金)もすべて放棄することになります。
相続放棄が必要になる主なケース:
- 被相続人に多額の借金があった場合
- 財産よりも負債のほうが多いと判明した場合
- 相続によるトラブルを避けたい場合
相続放棄のメリット・デメリット
✅ メリット
- 借金を引き継がなくて済む
- 亡くなった人の負債が多い場合、相続放棄をすることで借金を負わずに済む。
- 相続トラブルを回避できる
- 他の相続人との争いを避ける手段として有効。
- シンプルな手続きで済む
- 家庭裁判所への申請で完了するため、特別な契約などは不要。
❌ デメリット
- プラスの財産も放棄する必要がある
- 預金や不動産などの財産も含めて放棄しなければならない。
- 一度放棄すると撤回不可
- いったん相続放棄をすると後から「やっぱり相続する」はできない。
- 相続順位が繰り上がる
- 他の家族が相続人になるため、迷惑がかかる可能性がある。
相続放棄の手続き方法
相続放棄をするためには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。以下の手順に従って進めましょう。
① 期限を確認する(3ヶ月以内)
相続放棄の申請期限は、被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内です。この期間を過ぎると相続放棄が認められなくなる可能性があります。
② 必要書類を準備する
家庭裁判所へ提出する主な書類は以下の通りです。
- 相続放棄申述書(家庭裁判所指定の書式)
- 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
- 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
- 収入印紙(800円程度)
- 郵便切手(裁判所ごとに異なる)
③ 家庭裁判所へ申立てを行う
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、必要書類を提出します。
④ 照会書への回答(必要に応じて)
家庭裁判所から追加で質問がある場合、書面で回答する必要があります。
⑤ 相続放棄の受理通知を受け取る
家庭裁判所が申請を受理すると、相続放棄が正式に認められます。
相続放棄の注意点
✅ 単独での放棄は不可
- 一部の財産だけ放棄することはできず、「すべて放棄」か「すべて相続する」かの選択になります。
✅ 他の相続人に影響を与える
- 例えば、長男が相続放棄をすると次の順位の相続人(次男・両親・兄弟姉妹)が相続人になります。
✅ 相続放棄後の財産管理に注意
- 相続放棄をすると「最初から相続人ではなかった」扱いになりますが、それまでに財産を処分してしまうと「単純承認」とみなされ、相続放棄が無効になる可能性があります。
まとめ
相続放棄は、「借金を相続しないための重要な手段」ですが、慎重に判断することが求められます。
✔ 相続放棄の期限は3ヶ月以内 ✔ 財産も負債もすべて放棄することになる ✔ 一度放棄すると撤回できないため、専門家に相談するのが安心
相続放棄を検討している場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。
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