突然ですがです○×問題です。
令和5年の家庭内死亡事故死者数は1万人より多いでしょうか?それとも少ないでしょうか?
正解は、16.050人です。
令和5年の交通事故の死者数は2.678人となっていますので、約6倍の方が家庭内の事故で亡くなっていることになります。
また、家庭内事故の死亡者の約9割が65歳以上の高齢者となっている為、高齢者の方はより一層注意が必要です。
では、どのような原因が死亡事故につながっているのでしょうか?
本記事では、家庭内で発生しやすい死亡事故のランキングと、それぞれの事故を防ぐ為に今すぐできる対策について詳しく解説したいと思います!
家族全員が安全に暮らせる住環境を整えるために、ぜひ参考にして下さい。
3位 誤嚥・窒息事故(約2.500件)
家庭内事故の中でも誤嚥・窒息は特に高齢者に多く、命に関わる危険な事故の一つです。
令和5年の統計では、約2500件の死亡事故が発生しており、高齢者の嚥下機能(飲み込む力)の低下が主な原因とされています。
誤嚥・窒息事故の主な原因
(1)嚥下機能(飲み込む力)の低下
加齢により、喉や舌の筋力が衰えてしまい、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなるため、誤嚥しやするなります。
- 具体的な症状
- 食事中にむせやすい
- 飲み込んだ後にゴロゴロした音がする
- 食後に声がかすれる
- 口の中に食べ物が残る
(2)食事の形状や食べ方の問題
- 硬い食品や大きな塊:肉やパン、餅などは喉に詰まりやすい
- パサパサした食品:パンやクッキー、せんべいなどは唾液と混ざりにくく、嚥下しにくい
- 粘り気の強い食品:餅や団子は喉にへばりつき、飲み込みづらい
- 飲み物の影響:水やお茶などサラサラした液体は誤嚥しやすい
(3)食事中の姿勢や環境
- 姿勢が悪い(前かがみ、寝ながらの食事)
- 食事に集中していない(テレビを見ながら、会話に夢中)
- 急いで食べる(早食い、十分に噛まずに飲み込む)
(4)口腔内の状態の悪化
- 歯が抜けている、入れ歯が合っていない
- 唾液の分泌が少ない(ドライマウス)
- 口腔内に食べカスが残り、誤嚥の原因になる
誤嚥・窒息事故を防ぐための対策
(1)食事の仕方を工夫する
食べやすい形状にする
食材を細かく刻む(刻み食) ムース状(ペースト食)にする とろみをつけるなどの工夫をし、誤嚥を防ぎましょう。野菜は、茹でるか蒸して柔らかくしてから刻む、肉や魚はひき肉を使う、スープやあんかけにして飲み込みやすくするなどがおすすめです!
(2)食事中の姿勢と環境姿勢を正しく
背筋を伸ばして座る(リクライニングにしない)。足をしっかり床につけ、安定した姿勢で食べるなどの姿勢を整えて食事をすることも事故を防ぐ為に重要です。
また静かな環境で食事に集中することも事故防止に効果的です。テレビを消し、食事に集中する。会話しながら食べる際は、口の中のものをしっかり飲み込んでから話す・噛む回数を増やしゆっくり食べる。などの習慣をつけましょう。
(3)口腔ケアの徹底
合わない入れ歯は誤嚥リスクを高めるため、こまめな調整が必要です。また虫歯や歯周病を放置すると、噛む力が弱まり、誤嚥リスクが上がります。定期的に歯科医院を受診することも大切です。
唾液の分泌を促すために水分補給をこまめに行なったり、ガムを噛むことも効果的です。
(5)誤嚥・窒息時の応急処置
窒息時の救急対応を家族が理解しておくことも、事故防止の観点でとても重要です。緊急時に家族が迅速な応急処置を行えるかは、生死を分ける需要なポイントとなります。
・背部叩打法(せいぶこうだほう) 窒息時には背中の肩甲骨の間を力強く叩く(5回程度)
・ハイムリック法(腹部突き上げ法) 腹部を拳で圧迫し、異物を押し出す(救急車を呼びながら実施)
2位 転倒・転落事故(約5.000件)
高齢者の転倒・転落事故は、家庭内で頻繁に発生し、骨折や頭部外傷、場合によっては寝たきりになる原因となります。特に浴室、階段、玄関、リビングなどでの事故が多発しています。本記事では、高齢者が家庭内で転倒・転落する主な原因と、効果的な予防策を詳しく解説します。
転倒・転落事故の主な原因
(1)筋力・バランス能力の低下
加齢とともに、脚力や体のバランスを保つ能力が低下します。特に、太ももの筋力が衰えると歩行が不安定になり、転倒リスクが上昇します。
- 具体的な症状
- つまずきやすくなる
- 立ち上がりや歩行時にふらつく
- 足を高く持ち上げられず、段差につまずく
(2)視力・聴力の低下
- 視力の低下により、段差や障害物を見落としやすくなる。
- 視界がぼやけることで、足元の状況を正確に把握できない。
- 聴力の低下により、後ろから来る人や障害物に気づきにくい。
特に白内障や緑内障がある場合は要注意。 暗がりでは視界が悪化し、転倒しやすくなる。
(3)家の中の環境要因
転倒しやすい環境の特徴
- 滑りやすい床(フローリングや浴室の床)
- 敷物やコード類(カーペットの端がめくれている、電気コードが足に絡まる)
- 狭い通路(家具の配置が悪く、移動が困難)
- 手すりの未設置(階段・トイレ・玄関など)
- 照明が暗い(夜間のトイレ移動時に障害物が見えにくい)
(4)持病や薬の影響
転倒しやすい要因
- 低血圧・めまい(血圧の急な変動により、立ちくらみやふらつきが発生)
- 糖尿病(末梢神経障害により足の感覚が鈍くなる)
- 関節疾患(変形性膝関節症など)(膝が曲がりにくく、つまずきやすい)
- 服用中の薬の副作用(睡眠薬、降圧剤、抗うつ薬などは転倒リスクを高める)
2. 高齢者の転倒・転落事故を防ぐための対策
(1)住環境の安全対策
家の中の転倒リスクを減らすためのポイント
- 滑り止めマットを活用
- 浴室や玄関、キッチンには滑り止めマットを敷く
- 階段には滑り止めテープを貼る
- 段差をなくす・目立たせる
- 段差のある場所に色の違うテープを貼る(視覚的にわかりやすくする)
- 可能ならバリアフリー化し、段差をなくす
- 手すりを設置する
- 階段・トイレ・浴室・玄関に手すりを設置する
- 段差のある場所では、しっかりと掴める支えを用意
- 照明を明るくする
- 夜間の移動時に転倒しないよう、足元灯を設置
- 廊下や階段の照明を明るくし、影を作らない
- 家具の配置を見直す
- 通路を広く確保し、移動しやすいように配置変更
- 電気コード類は壁際に沿わせて固定し、足元に障害物がないようにする
(2)転倒しにくい身体づくり
バランス力・筋力を鍛える運動を取り入れる
- 片足立ちトレーニング(壁に手をついて30秒ずつ交互に)
- スクワット(軽い屈伸運動を毎日10回程度)
- つま先立ち運動(ふくらはぎの筋力強化)
- ウォーキング(屋内外でできる範囲で継続)
転倒予防のための基本は「脚力維持」です。無理のない範囲で毎日少しずつ運動を続けましょう。
(3)視力・聴力の定期的なチェック
目と耳の健康管理も転倒防止につながる
- 眼科・耳鼻科で定期的に検診を受ける
- メガネや補聴器の調整を行い、視界・聴力を適切に保つ
(4)薬の見直し
かかりつけ医と相談し、転倒リスクのある薬を調整
- 眠気やふらつきを引き起こしやすい薬は、適量を調整する
- 降圧剤や抗不安薬の副作用を確認し、代替薬を検討する
(5)万が一の転倒時の対策
転倒してしまった場合の対処法を知る
- ゆっくりと体勢を整え、焦らずに起き上がる
- 四つん這いになり、安定した場所を支えにしてゆっくり立つ
- 無理に立ち上がろうとせず、体勢を整える
- 一人暮らしの場合は緊急時の備えをする
- 緊急通報装置や携帯電話を手元に置く
- 転倒した際に助けを呼べる仕組みを作る
高齢者の転倒・転落事故は、環境の整備・体力維持・医療チェックの3つのポイントを押さえることで防げます。
日常の小さな工夫が、大きな事故を防ぐことにつながるため、すぐにできる対策から取り組むことが重要です。
1位 浴槽での溺死・溺水事故 (約6.500件)
高齢者の浴槽での溺死・溺水事故は、日本国内で家庭内死亡事故の中でも最も多く発生している危険な事故です。特に寒い季節や体調がすぐれないときにリスクが高まります。本記事では、高齢者が浴槽で溺れる主な原因と、効果的な予防策を詳しく解説します。
高齢者の浴槽での溺死・溺水事故の主な原因
⑴ ヒートショックによる意識喪失
- 急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神や意識を失うことで溺水に至るケース。
- 特に冬場、寒い脱衣所から熱い浴室に移動する際に発生しやすい。
- 血圧の急上昇と急降下が繰り返されることで心臓や脳へ負担がかかる。
⑵ 長時間の入浴によるのぼせ・脱水
- 長風呂によって血管が拡張しすぎると、血圧が低下し、脳に十分な血流が届かなくなる。
- のぼせや低血圧によるめまい、ふらつきが発生し、浴槽内で意識を失う危険性がある。
- 入浴中の発汗による脱水症状も血圧変動を引き起こす要因となる。
⑶ 浴槽内での転倒・バランス喪失
- 高齢者は筋力の低下により、浴槽内で立ち上がる際に転倒しやすい。
- 浴槽の底や洗い場が滑りやすく、足を滑らせて転倒するケースも多い。
- 転倒時に頭を浴槽の縁にぶつけることで意識を失い、そのまま溺れる可能性がある。
⑷ 心筋梗塞・脳卒中などの発作
- 高齢者は動脈硬化が進行しており、入浴時の血圧変動によって心筋梗塞や脳卒中を起こしやすい。
- 突然の発作で意識を失うと、浴槽内での事故につながる。
- 食後すぐや極度の空腹時の入浴が発作の誘因となることもある。
⑸ 一人暮らしによる発見の遅れ
- 高齢者が一人で入浴している際に事故が起こると、助けを求めることができない。
- 意識を失ってもすぐに発見されず、そのまま溺死してしまうケースが多い。
- 緊急時の対応が難しくなるため、リスクがさらに高まる。
浴槽での溺死・溺水事故を防ぐための対策
⑴ 脱衣所と浴室の温度差をなくす
- 浴室暖房を活用し、事前に浴室を暖めておく。
- 脱衣所には暖房器具を設置し、寒暖差を減らす。
- お湯をためる前にシャワーで浴室全体を温めるのも有効。
⑵ 短時間の入浴を心がける
- 入浴時間は10〜15分以内に制限する。
- のぼせや脱水を防ぐために、一度浴槽から出て休憩を挟む。
- 入浴前後にコップ1杯の水を飲み、脱水予防をする。
⑶ 滑り止め・手すりの設置
- 浴槽の縁や浴室の壁に手すりを取り付け、出入りを安全にする。
- 浴槽内や洗い場に滑り止めマットを設置し、転倒を防ぐ。
- 座ったまま体を洗えるシャワーチェアを使用するのも効果的。
⑷ 入浴前後の体調確認を行う
- 体調がすぐれないときや食後すぐの入浴は避ける。
- 入浴前に血圧を測定し、急激な変動がないか確認する。
- 高齢者本人が異変を感じたら、すぐに入浴を中止するよう促す。
⑸ 家族や介護者による見守りの強化
- 一人暮らしの高齢者は、入浴前後に家族や知人に連絡を入れる。
- 緊急時に助けを呼べるよう、浴室内に防水型の緊急呼び出しボタンを設置する。
- 入浴時間が長すぎる場合、家族が声をかけて様子を確認する。
高齢者の浴槽での溺死・溺水事故は、温度管理、入浴習慣の見直し、住環境の整備、家族のサポートによって予防できます。これらの対策を実施し、安心・安全な入浴を実現していきましょう!
まとめ
家庭内事故は、日常のちょっとした注意や環境整備で大幅に減らすことができます。特に高齢者がいる家庭では、事故のリスクが高いため、早めの対策が求められます。
事故が発生した場合は、慌てず適切な応急処置を行うことも大切です。特に窒息や転倒による怪我、火傷などは、すぐに対応することで被害を最小限に抑えることができます。
安全な家庭環境を整え、大切な家族を守るために、日々の暮らしの中で防止策を意識しながら生活しましょう。
終活.comでは、終活に関する疑問や悩みを解決する情報をお届けしています。
また、記事の内容についてのご感想や、ご自身の経験などもぜひコメントでお聞かせください!
コメント