遺言書といえば、紙に書いて残すものというイメージがありますが、最近は「デジタル遺言書」という考え方も注目されています。私たちの生活がデジタル化する中で、ネット銀行や仮想通貨、SNSアカウントなど、紙の遺言書では管理しきれないデジタル資産が増えているからです。
では、デジタル遺言書とはどのようなものなのか? そして、紙の遺言書とどう違うのか? 本記事では、デジタル遺言書の書き方や作成時の注意点を詳しく解説します。
デジタル遺言書とは?紙の遺言書との違い
✅ 紙の遺言書とデジタル遺言書の違い
紙の遺言書 | デジタル遺言書 | |
---|---|---|
形態 | 手書き(自筆証書)または公正証書 | デジタルデータ(PDF、動画、クラウド保存) |
法的効力 | 遺言として認められる | 現時点では法的効力なし(補助的な役割) |
作成方法 | ルールを守る必要がある(自筆・押印など) | 書式自由(動画・音声メッセージも可) |
管理方法 | 家庭裁判所の検認が必要(公正証書なら不要) | クラウドやUSBに保存、家族に共有 |
デジタル遺言書はあくまで「補助的なツール」として活用し、正式な遺言書は紙で作成するのが現状のベストな方法です。しかし、デジタル遺言書を使うことで、従来の遺言書ではカバーしきれないデジタル資産の管理をスムーズにできます。
デジタル遺言書に記載すべきこと
デジタル遺言書には、特に以下のような内容を記載しておくと便利です。
① デジタル資産のリストアップ
✔ ネット銀行・証券口座の情報(どの金融機関か明記)
✔ 仮想通貨のウォレット情報(秘密鍵の保管場所も記載)
✔ 電子マネー・ポイントサービス(楽天ポイント、PayPayなど)
✔ クラウドストレージのデータ管理(Google Drive、Dropboxなど)
✔ ネットショップの売上金やアカウント(メルカリ、PayPalなど)
✔ サブスクリプションサービスの契約情報(Netflix、Amazonプライムなど)
② SNSやオンラインサービスの管理方針
✔ FacebookやInstagramの追悼アカウント設定(誰に管理を任せるか)
✔ X(Twitter)やLINEの削除方法(家族が申請する手順)
✔ ブログやYouTubeなどのコンテンツ管理(収益化している場合は相続も考慮)
③ 家族や相続人へのメッセージ
✔ デジタル資産の管理方法やアクセス情報
✔ 重要なデータの保管場所(パスワード管理アプリのマスターキーなど)
✔ 最後に伝えたいメッセージ(動画や音声でも可)
➡ これらをまとめておくことで、家族がスムーズに相続手続きを進めることができます。
デジタル遺言書の作成方法
デジタル遺言書は、次の手順で作成すると整理しやすくなります。
① データを整理し、リストを作成する
まずは、自分の持っているデジタル資産をすべてリストアップしましょう。ネット銀行、仮想通貨、SNSアカウント、サブスク契約など、思いつく限り書き出します。
② 遺言書のフォーマットを決める
デジタル遺言書は形式が自由ですが、分かりやすくするために次のようなフォーマットをおすすめします。
📄 テキスト形式(PDF、Wordファイルなど) 🎥 動画形式(スマホでメッセージを録画) 🔊 音声形式(スマホのボイスメモで録音)
※ パスワードや機密情報は、信頼できる人と共有する方法も考える
③ 保管方法を決める
デジタル遺言書は、紛失や改ざんを防ぐために安全に保管することが重要です。
✔ クラウドストレージ(Google Drive、OneDrive)に保存
✔ USBメモリや外付けHDDにバックアップ
✔ 信頼できる家族や弁護士に保管を依頼 ✔ パスワード管理アプリを活用(1Password、LastPassなど)
また、家族に「このデータがある」ということを伝えておくことも忘れずに。
デジタル遺言書を活用する際の注意点
デジタル遺言書を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。
✔ 正式な遺言書(紙)と併用すること(デジタル遺言書のみでは法的効力なし)
✔ パスワードや秘密鍵は安全に管理する(漏洩リスクに注意)
✔ 定期的に内容を更新する(資産や契約が変わったら修正)
✔ 家族に存在を伝えておく(知られなければ意味がない)
まとめ:デジタル時代の終活にデジタル遺言書を活用しよう
デジタル遺言書は、従来の紙の遺言書では管理しきれないデジタル資産を整理し、スムーズな相続を可能にするツールです。
✔ ネット銀行や仮想通貨、SNSアカウントの管理を明確にする
✔ 家族がスムーズに対応できるように、データの整理と保管を徹底する
✔ 正式な紙の遺言書と併用し、法的トラブルを防ぐ
✔ 動画や音声メッセージで、最後のメッセージを残すのも一つの方法
デジタル資産は放置すると家族が困るだけでなく、資産の消滅や不正利用のリスクもあります。今のうちにデジタル遺言書を準備し、安心して未来を迎えられるようにしましょう。
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