人生の最期をどのように迎えるか。
私たちは普段あまり意識はしませんが、これは人生を自分らしく生きるためのとても大切なテーマです。また、自分が病気や事故で意思表示ができなくなったときに、どのような医療を受けるのか、またどこまで延命措置を希望するのかを事前に考えておくことは、家族にとっても大きな助けになります。
「まだ先のことだから」と思うかもしれませんが、いざというときに「自分だったらどうしたいか」を決めておくことで、自分らしい人生の締めくくりができるだけでなく、大切な家族に迷いや負担をかけずにすみます。本記事では、「延命措置」や「尊厳死」に関する備えについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
延命措置とは?
延命措置とは、病気やケガなどで生命の危機に瀕したときに、人工的な方法で生命を維持する医療行為のことを指します。例えば、以下のようなものがあります。
- 人工呼吸器の装着:自分で呼吸ができない状態になったときに、機械で呼吸をサポートする。
- 心肺蘇生(CPR):心臓が停止した際に電気ショックや胸部圧迫を行い、心拍を回復させる。
- 人工栄養・点滴:食事が摂れなくなった際に、胃ろうや点滴などで栄養を補給する。
これらの治療は命をつなぐために重要ですが、高齢になっていたり、回復の見込みがない場合には、長期にわたって苦痛が伴うこともあります。そのため、「どの程度の医療を受けたいのか」「どこまでの治療を希望するのか」を事前に考えておくことが大切です。
尊厳死とは?
尊厳死とは、「延命措置をせずに自然な形で最期を迎えること」を指します。決して「死を早める」ものではなく、「無理な延命をせずに、本人の意思を尊重する」ことが大前提です。
たとえば、以下のような考え方が尊厳死にあたります。
- 積極的な延命措置を行わず、自然に最期を迎える。
- 苦痛を和らげる治療(緩和ケア)を優先する。
- 本人が望む環境(自宅やホスピスなど)で最期を迎える。
尊厳死を選ぶ場合、「どういう医療を受けたいのか」「どこで最期を迎えたいのか」を、あらかじめ家族や医療機関と共有しておくことが重要です。
尊厳死宣言公正証書とは?
尊厳死を確実に実行するための方法の一つとして、「尊厳死宣言公正証書」があります。これは、公証役場で作成する正式な文書で、延命措置を希望しないという意思を明文化し、法的に証明するものです。
尊厳死宣言公正証書に記載する内容の例:
- 本人の意思表示:延命措置を拒否することを明確に記載。
- 医療機関への指示:主治医や病院が本人の意思を尊重するよう求める。
- 家族の意向の尊重:家族が本人の意思を理解し、医療機関と協力できるよう明示。
- 証人の署名:信頼できる証人が立ち会い、意思が明確であることを証明。
この公正証書を作成しておけば、いざというときに家族や医療機関が迷わずに対応できるため、安心して最期を迎えることができます。
延命措置・尊厳死に備えるための準備
それでは、具体的にどのような準備をすればよいのでしょうか?
1. エンディングノートを作成する
エンディングノートとは、自分の希望や考えを記録しておくノートのことです。特に、延命措置に関する希望や、どのような医療を受けたいかを明確に書いておくことで、家族が判断に迷わなくなります。
2. 事前指示書(リビングウィル)を作成する
リビングウィルとは、延命措置を希望するかどうかを明文化しておく文書です。法的拘束力はありませんが、家族や医師に自分の意思を伝えるために役立ちます。
3. 尊厳死宣言公正証書を作成する
尊厳死宣言公正証書とは、延命措置を拒否し、尊厳死を希望する意思を公証人が証明する公的文書です。法的拘束力があり、家族や医師に本人の意思を明確に伝えることができます。4. 家族や信頼できる人と話し合う
どんなに文書を残しても、家族が知らなければ意味がありません。「自分はこう考えている」「このような医療を希望する」ということを、家族や信頼できる人に伝えておくことが大切です。
4. 医療機関やケアマネージャーと相談する
病院や介護施設によっては、延命措置に関する方針が異なることもあります。あらかじめ医療機関やケアマネージャーに相談し、自分の意思を伝えておくことで、より希望に沿った医療を受けることができます。
まとめ
延命措置や尊厳死のことは、考えるのが難しいテーマかもしれません。でも、「もしものときに、どうしたいか?」を考え、準備をしておくことで、自分らしく穏やかな最期を迎えられるだけでなく、大切な家族の負担を減らすことにもつながります。
決して「重たい話」ではなく、「よりよく生きるための準備」として、少しずつ向き合ってみませんか?まずは、エンディングノートを作成したり、家族と話をすることから始めてみましょう。
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