任意後見契約は、自分の判断能力が低下したときに備え、信頼できる人に財産管理や生活支援を委ねる制度です。しかし、認知症が始まっている場合でも契約を結ぶことは可能なのでしょうか?
本記事では、認知症と任意後見契約の関係について詳しく解説します。
任意後見契約とは?
任意後見契約とは、将来、判断能力が低下した際に備え、あらかじめ自分で信頼できる人(任意後見人)を選び、公正証書で契約を結ぶ制度です。契約を結んだ時点では、本人に判断能力があり、自分の意思で契約できることが前提となります。
認知症が始まっている場合、契約できるのか?
判断能力があれば契約は可能
任意後見契約を結ぶ際に最も重要なのは、本人が契約内容を理解し、自分の意思で契約を締結できるかどうかです。たとえ認知症の診断を受けていたとしても、
- 契約の意味を理解できる
- 後見人を選ぶ意思を示せる
場合は、契約が可能です。
判断能力が低下していると契約は難しい
しかし、認知症が進行し、契約の意味を十分に理解できない場合は、任意後見契約を締結することはできません。その場合は、法定後見制度の利用を検討する必要があります。
任意後見契約を結ぶタイミングの重要性
早めの契約が望ましい
認知症の初期段階では、日によって判断力に波があることもあります。しかし、後になって「この契約は本人の意思によるものではない」と判断されると、無効になる可能性があります。そのため、判断能力があるうちに契約を結ぶことが重要です。
家族と話し合い、公証役場で確認を受ける
契約の際には、公証人が本人の意思能力を確認します。本人の理解度に不安がある場合は、家族や専門家と相談しながら慎重に進めるとよいでしょう。
認知症が進行してしまった場合の選択肢
認知症が進行し、任意後見契約を結ぶことが難しくなった場合は、法定後見制度の利用を検討する必要があります。
法定後見制度とは?
法定後見制度は、すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。本人の判断能力の程度によって、
- 後見(判断能力がほぼない場合)
- 保佐(判断能力が著しく不十分な場合)
- 補助(判断能力が不十分な場合)
の3種類に分かれます。
法定後見制度の利用方法
- 家庭裁判所に申し立てを行う
- 裁判所の審査を受ける
- 適切な後見人が選任される
- 後見人が財産管理や契約などをサポートする
法定後見は、すでに判断能力が低下した方に対して有効な制度であり、本人の利益を守る役割を果たします。
まとめ
認知症が始まっている場合でも、判断能力が残っているうちであれば任意後見契約を結ぶことは可能です。しかし、
- 契約の意味を理解できない場合は契約不可
- 早めの契約が望ましい
- 判断能力が低下した場合は法定後見制度を検討
というポイントを押さえておくことが重要です。
将来に備え、自分の希望をしっかりと反映させるためにも、早めに家族や専門家と相談し、適切な手続きを進めましょう。
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